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第25回 「これからが正念場!ふるさと福島の復興に向けて」 シーアイエー(株)代表取締役・横山光衛さん<後編>

毎年8月8日に開催される「納涼祭」での
横山社長の勇姿(2011年8月8日)

『旅するチカラ』初の2ヶ月に渡る前後編企画の後編です。前編から引き続く釣りのお話。そして、現在、最も力を注いでいる趣味のバンド活動。さらに、福島原発事故にかかわる、ふるさと福島の復興への取り組み・・・。いろんなお話をしていただきました。

※このインタビューは2011年9月3日、福島県伊達市梁川町にあるシーアイエー(株)のオフィスで行われました。

マッドアマノ氏寄贈の福島復興祈念パネル
災い転じて"福"島となす
(今年の「CIA納涼祭」開催にあたり寄贈されました)

福島第一原発から10数キロの河川・浪江町請戸川
もうこの川でサケ釣りはできないかもしれません・・・

出村:なるほど。ところで横山さんの旅って、そのほとんどは釣りが目的なんですか?ちなみにアラスカ以外ではどこに行かれたことがありますか?

横山さん:釣り目的ではメキシコやフィジーですね。フィジーはロウニンアジが釣れます。GT(ジャイアントトレバリー)と呼ばれる魚です。GTを釣りたくて世界からフィジーに釣り人が集まってくるんですよ。メキシコではカンクンで釣りをしました。ガーリックステーキ(スペイン語でアホ・バカと発音する)ばっかり食べていた記憶があります。そういえば、ある時、フィジーの海で釣った魚を刺身で食べようと思ったことがあったんです。ホテルに持って帰ってコックに刺身にしてもらって、みんなで食べようと。ところがホテルのコックは刺身っていうものを知らない。どうやってさばいてよいかわからないって言うんですよ。仕方がないので包丁貸してもらって、「こうやってやるんだよ」って頭を落としてさばいていった。すると、コックたちは「その頭をどうするんだ」って訊くので、「いらない。あげるよ」って言ったらコック連中がそれを奪い合うじゃありませんか。どうも、フィジーでは魚の頭の方が大事のようなんですね。そして、食べ終わってお金を払おうとしたらコックが怪訝な顔をしている。調理をしていないからお金は取れないっていうことらしいんです。

出村:それってパソコンがない頃ですよね。メキシコやフィジーでの釣りに関した情報って自分で調べて行かれていたのですか?

横山さん:というか、釣り師同士の"通説"っていうのがあるんですよ。フィジーはすごくいいよとかメキシコはいいよとか。そういうことを聞くと「じゃあ、行ってみっか」ってなるんです。で、行ってみると、なんとかなるものなんですよ。

山本さん:西山徹さんという釣りの世界では草分け的な存在の人がいて、その方がクリスマス島で魚を釣るビデオがあるんです。クリスマス島の海がものすごくきれいで、そこで釣れる魚もきれいなんですね。それで「クリスマス島っていうところに行きたいな」と思ってもどうやって行けばいいのか分からない。調べるとクリスマス島に行く飛行機って8日に1便しか便がない。だから1度行ったら次の週じゃないと戻ってこれないという場所なんです。だから行きたくても、そこだけは日数に余裕がなければ行けないですね。

楽しいお食事タイム
北海道の支笏湖で釣りキャンプ

ごきげんの横山社長
北海道の屈斜路湖にて

出村:離島に行くとなると、やっぱりなにかと大変ですよね。

横山さん:そういえばクリスマス島で釣れる魚って、とにかくデカい。過去に、近海でやった核実験の影響かどうかは分かりませんが・・・。

出村:そうなんですか!やっぱり放射能の影響ですか。ところで横山さんはこれまでに何カ国ぐらい海外に行かれているのですか?

横山さん:アラスカをはじめアメリカ、ハワイ、メキシコ、ミャンマー、ロシアなどで、約10カ国ぐらいです。

出村:釣り以外では遊びが目的ですか?

横山さん:ほとんどがそうです。でも、ロシアは少し違います。実はこの福島県の伊達市梁川っていう場所はニットの産地でもあるんです。ある時、ニット組合の人と話していたら「今、ニット製品の国内生産は全体の1%程度で99%は輸入になっている」という話が出たんです。その話を聞いて、じゃあ、こっちも輸出すればいいじゃないかってことを思い立ったんです。オレが開拓してやるからって。それで国からの2000万円の助成金で、ロシアに市場を開拓しに行きました。そして、モスクワとサンクトペテルブルグでファッションショーをやって、なんとか輸出できるルートができたんです。「これでうまくいく」と思っていたら、今年3月の大震災で全部ダメになってしまいました。せっかくルートができたっていうのに・・・、がっかりです。震災というより原発事故の影響ですね。福島産だからダメということで、結局、キャンセルになってしまいました。今年の3月に3000万円位の受注があったのがゼロになってしまった・・・。

出村:原発事故の影響ってそんなところにまで広がっているんですね。

スキンヘッドにニット帽の横山社長
この川も壊滅状態(福島第一原発から20数キロの地点にある楢葉町・木戸川)

横山さん:そうなんです。そうそう、話は全然違うのですが、ロシアに行った時、私は、スキンヘッドにしていたんですよ。でも、さすがにロシアに行くのにスキンヘッドはまずいだろうと少し髪を伸ばし始めた。ところがパスポートの写真と人相が違うっていうことで税関につかまってしまって・・・。結局、免許証を見せてなんとかなったんですけど。それで「税関に止められないように国の予算でカツラを買ってくれて」って頼んだら、そんなものに国の予算は使うなって言われてしまいましたよ(笑い)。

出村:カツラはさすがに買ってくれないでしょう。ところで他にも仕事で行かれた国ってあるんでしょうか?

横山さん:ミャンマーに行くようになったのは趣味ではありませんでした。最初はボディーガードとして付いて行ったんです。私が強面で人相も悪いから「付いて来てよ」って頼まれたんです(笑い)。向こうの工業団地に自動車の部品工場を作るという日本人がいて、その人のボディーガードとして付いて行ったのが最初です。これがいけなかった・・・。実はホテルに盗聴器が仕掛けられていて、軍隊に連行されてしまったのです。銃を構えた兵士がにらみをきかせている中で情報大臣に取り調べを受けました。その時に、とっさに「こっちの学生を支援するために来た」って言ってしまったんですね。それでなんとか事なきを得たのですが、「まぁ、言ったからにはそれなりにやってみっか」ってことで、ミャンマーの学生を支援するNPO法人を起ち上げました。それが10年ぐらい続いています。

出村:なんだか、それもまたすごい話ですね。

ミャンマーで起ち上げたNPO法人のイベント「ジャパンデイ」
(右端が横山社長)

関係者全員で記念撮影
(前列中央が横山社長)

横山さん:NPO法人を起ち上げて日本の祭りなどを紹介するイベントもやりました。「ジャパンデイ」と銘打って、日本式の結婚式をやったり、よさこいを踊らせたり、空手の芝居をやらせたり、金魚すくいなんかをやったんです。僕なんかも法被着てね。ミャンマーは軍事政権下でそれまで3人以上の集会は禁止だったんです。ところが国立劇場みたいなところに4000~5000人が集まったんです。それで民主化に弾みがついちゃったんじゃないかと思って(笑い)。

出村:そのミャンマーの学生を支援する組織は何というんですか?

ミャンマー政府に招待され官邸に赴く

横山さん:NPO法人ミンガラ奨学金です。ミンガラはミャンマー語で「すべての良い兆しの根源」という意味なんですよ。私はそこの副理事長を務めています。

出村:それにしてもニットをロシアに輸出しようとしたり、ミャンマーの学生支援組織を起ち上げたり、ミャンマーでイベントを開催したり、横山さんの発想と行動力ってすごいですね。思い立ったらすぐに行動に移すタイプなのですね。

横山さん:そうかもしれませんね(笑い)。ある時期はやることなすことすべてがうまく行ったこともありましたね。バブルの頃なんか、会社も儲かったし、銀行も「お金、借りてくれ、借りてくれ」って言って。

出村:じゃあ、お金の使い方もハデだったんですか?

横山さん:そうかもしれませんね(笑い)。BMWが欲しくなって「これちょうだい」って衝動買いしたこともありました。トローリングのクルーザーを4隻ほど持っていたこともありましたね。実は一時12ほどの会社をやっていたことがあって、1ヶ所の会社から10万円、20万円の給料をとっていましたから使い切れなくなって。当時はお金が残っていたんです(笑い)。ただバブルが崩壊したら、銀行がどんどん回収に来たんで、あっという間になくなってしまいましたけど・・・。

出村:12の会社の社長というと、すごいですね。

横山さん:実は、当時、私が福島県のマスコミ関係にいろいろと取り上げられていたこともあって、「こういう会社があるんだけど、社長をやってくれないか」って頼まれることが多かったのです。それで断るのもなんだなと思ってやった部分もありますね。

出村:なるほど。それにしても仕事も遊びもハデにやっていらっしゃったんですね。

横山さん:はい。「仕事も遊びもとことんやる」っていうのがモットーですから。まぁ、最近は少し反省していますけど(笑い)

出村:ところで最近はどんな趣味にはまっていらっしゃるんですか?

趣味の域を超えている・・・

横山さん:ロックバンドです。

出村:えっ?それはまたどうして。

横山さん:40過ぎて、友人から生のバンドで歌ってみないかって話がきたんですよ。誕生日プレゼントだっていうことで。後で分かったんですが、誰も英語ができなくて英語の歌詞は歌えない。横山は何度もアラスカとかに行ってるから英語ができるだろうということだったようです。まぁ、彼らは勘違いして私にボーカルを頼んできたんですね。でも「まぁ、いいか」って、とりあえずやってみたら、これが意外に面白い。それですぐにギターを買いに行って練習するようになった。それで真剣にバンド活動をするようになっていったわけです。




この画像をクリックすると横山社長率いる「100ws」(100ワッツ)の
今年の12月3日に行われたライブパフォーマンスをご覧いただけます!

出村:ミャンマーの学生支援といい、バンド活動といい、面白いと思ったら、本当にすぐに飛びつくんですね。

横山さん:そうなんです。実は、ライブハウスも作っちゃいました(笑い)。

出村:えっ!?ライブハウスですか?

横山さん:そう。実は自分で作ったわけではなくて、ある時、知り合いの女性が駅の近くに変わった建物を作っていました。それは住宅雑誌なんかに掲載されるような建物でした。後日、その人が私のところに訪ねてきて「横山さん、あの建物、買ってくれない」って言うんですよ。「買ってくれない」って言われてもね。で、数日後にまたその人が訪ねてきて、今度は「銀行に残っている残高を払ってくれないか?それでいいから」って。それは駅前で190坪ぐらいあって、東京だったら2億ぐらいはするような建物です。そこで、社員のみんなに「ここでライブハウスをやろうと思っているんだけど、どう?やってくれない?」って相談したら「いいよ」って言うことになって、ライブハウスにしちゃったんです。それなら自分らのバンドも気兼ねなく出演できますからね。

これがそのライブハウス
オトナのライブハウス『百萬馬力』

出村:そういう流れなんですか。それにしてもライブハウスもやってしまうなんて(笑い)。そういえば会社では恒例の大イベントあると聞きましたが。

横山さん:そうそう。そのイベントは8月8日の私の誕生日に『納涼祭』と称して開催しているんです。もちろん私たちのバンドが野外ステージに立つんです。うちの社員の中には吹奏楽をやっていた者たちもいるので、私たちの演奏に合わせてバックで吹いてもらうというわけです。

『CIA納涼祭2011』
震災復興を祈念して今年も盛大に行われました!(2011年8月8日)

出村:えっ、ちょっと待ってください。自分たちのバンドのための野外ステージ演奏ですか?

横山さん:まぁ、そうなんですけど、実は少し違っていて・・・。うちの会社では、ある時期からお中元、お歳暮や接待・交際をやめようということにしたんです。その代わりと言ってはなんですが、1年に1回、全部こちらで料理を作ったりして取引関係の方々に楽しんでもらおうと、会社の近くの公園を借りてイベントを始めたんです。それでバンド演奏もして楽しんでもらおうと。ところが、そのうち社員の知り合いの知り合いの、その友人たちまで来るようになった。なにせ、食べ物やドリンクがタダなわけだし、余興もある。気がついたら会社や仕事とはまったく関係のない人たちも来るようになっていたんです。多い時には800人も集まってしまいました。「これはヤバイぞ」っていうことで、一昨年から人数制限をするようにしたんです。

かっこいいです!

出村:それにしても公園でイベントというのもハデですね。

横山さん:はい。ただ、元はといえば、私がアラスカに行っている時に、女房や社員たちがちょっとした飲み会というかバーベキューをやって楽しんだことから始まったんです。それを聞いて、「ちょっと待て。そういうことだったらオレがアラスカで釣ったキングサーモンを持ってくるから、それでやろうよ」というような話やら、そして、先ほどお話した仕事がらみの接待・交際をやめようという話がミックスして、一大イベントをやるようになったわけです。最近ではこのイベントも知られるようになって、このところ毎年「みちのくプロレス」と「センダイガールズプロレスリング」の皆さんも参加してくれてるんですよ。

出村:それにしても食べ物などもタダとなると、相当な出費になるんじゃないですか?

横山さん:それがそうでもないんです。食用のザリガニなんか捕るのが面倒なだけでタダですから。

出村:えっ、ザリガニを食べるんですか?

慣れた手つきで食事の準備をする山本さん
山本さんは「広瀬川水生生物研究会」の事務局長も務める

山本さん:食用のザリガニですからイメージされているものとは違いますよ。ザリガニって赤い色だと思われているでしょうが、このザリガニは緑色をしています。本来は北海道にしかいないウチダザリガニと呼ばれるもので、阿寒湖辺りの名物になっています。それがどういうわけか、福島県の裏磐梯にいたんです。実は私、水生生物研究会の事務局長を務めているんですけど、「これはおかしい」と思ってそれを持ち帰って調べてもらったら、やっぱり食用のウチダザリガニだったんです。それがちょっとした発見ということになって福島県のTV局も取材にやってきたりしました。

横山さん:だからその食用のザリガニを山本といっしょにたくさん捕ってそれをタダで提供しているというわけです。

出村:面白いですね。しかもそのザリガニを福島で山本さんが発見されたなんて。自然が豊かな福島だからこそのお話ですね。ところで今回の福島原発の事故で自然をはじめ、さまざまな面で影響が出ていると思いますが・・・。

山本さん:実は福島でも1年に1回だけサーモンフィッシングができる川があるんですよ。その場所がちょうど浪江町の付近で請戸川のところ。毎年、応募があって抽選で釣りをする権利を得るんです。社長も私も毎年それを楽しみにしていたのですが、原発事故の影響で今年からはもうできません。日本で有数の漁場だったので、すごく残念です。

ご満悦の横山社長
浪江町の請戸川で獲れた立派なサケ(2008年11月)

横山さん:それと福島産の食べ物に関しての風評被害もあります。それで考えたのが福島県の伊達市に原子力の研究機関を持ってくるというアイデアです。このアイデアを商工会の名前を借りて出したところ通ったんですよ。実はうちの社名だけで何度か提案書を出したんですが、印刷屋の提案なんて誰も聞いてくれなかった。そこで商工会の名前で出すことにしたのです。そのアイデアというのは、国がらみの原子力研究の組織を作って、安全な食品だけに安全認証シールを貼って市場に出しましょうというものです

山本さん:今、食べ物に関してはさまざまな基準値があります。それでは、どれが本当に安全なのかって分からなくなってしまう。で、統一したものを出しましょうということです。たとえば福島産の桃と山梨産の桃があったとしたら山梨産の桃が買われますよね。福島産の桃がある放射線の基準をクリアしていたとしても消費者が納得しないとどうしようもありません。だから安心感を持ってもらうことが重要なんです。そのための認証シール。それですべてが解決するとは思いませんし、2年、3年で解決する問題でもない。福島にとってはこの原発問題はいろんな意味で長丁場になると思います。


横山社長の本職は印刷会社です
ファイブスタークラブのスタッフが世界中で撮った写真満載の
カラーパンフレットはこの機械で印刷製本されているのです

横山さん:たとえばこの桃畑で採れた桃は放射線量が高いけど、1メートル離れた畑でとれた桃はゼロだったりする。ところが今は1個の桃の放射線量が高いと全部がダメになってしまう。だったら全量検査して安全なものとそうじゃないものをきっちりと分けて出しましょうと。そういう施設も作りましょうということです。これまでは食品の中に含まれる放射線量を計るのに青森まで持って行っていました。それで検査されて戻ってくるまで1週間もかかる。それじゃ、生鮮食品なんかは話にならないわけですよ。だから地元に検査の機械を置いてしっかり検査をしようと。検査費用については東電の賠償資金でやってもらおうと考えています。こうしたことは日本中で考えないといけない問題だと思います。

出村:なるほど。今のままでは福島の農業がダメになってしまいますからね。

シーアイエー株式会社の社屋

横山さん:それともう一つ。福島原発事故の風評被害もあって農業離れが多くなっています。この伊達市梁川町というのは「あんぽ柿」の名産地でもあって、その「あんぽ柿」を作っていたのはお年寄りの方が多いのです。ところが今回の風評被害もあって「あんぽ柿」を作っていたお年寄りがどんどんやめてしまっている。これでは「あんぽ柿」が消えていくのも時間の問題です。その「あんぽ柿」を途絶えさせていけないと思うようになって、それでうちの会社でも農業に参入しようかと考えているんです。そのアイデアはここで詳しくお話することはできませんが、それによって「あんぽ柿」も地元に残すことができるんじゃないかなと思っています。
とにかく今回のことがあって自分の故郷をなんとかしなくちゃいけないって考えるようになりました。それまでは自分の会社のことは考えていても、故郷のことなんかまったく考えたことがなかったのに(笑い)

出村:今回さまざまなお話をうかがって、横山さんのようにバイタリティーにあふれた方はやっぱり福島になくてはならない存在だと確信しました。お忙しい中、時間を割いていただいて、また山本さんにもお話しに加わっていただき、本当にありがとうございました。

Interviewer : 出村隆行(ファイブスタークラブ)
Writer : 亀崎 恒(フリーライター)
Editor : 森 裕(ファイブスタークラブ)

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